惰眠




眠りを売ってパンを買った男がいる
腹がふくれても、だから、眠くならない

砂糖が嫌いな男がいる
周囲の人は彼を変人だと蔑んだ

砂糖は誰もが好きなものなのだろうか
子供は全ての母親から愛されるべきなのだろうか
女は全て母親なのか
女を売って眠りを買う
女を売ってパンを買う
女を売っても子供は買えない
子供は売ってない

だから女は眠れずに空腹なのだ

仕方ないのだ
女は子宮に
女を飼っているのだから


飼っているのなら
罪だと言われた
女が出てゆかぬなら
熔かして欲しいと言った





熔かすときは指先から
足でも手でもいい
心臓と脳に遠いところから
痛みを愛と勘違いし
苦痛を快楽と間違えたまま
そうして消えたいから
最後に心臓を救えば
最後に脳を救えば
そこで生きたい
気持ち悪く
無様なままに
しかし
ちゃんと手の中に納まるように
小さくなって
そこで生きたい
熔かすなら
できるかぎりゆっくりと
脳と心臓の遠くから
痛みを与えて
容赦なく残酷に
熔かして欲しい















自由詩 惰眠 Copyright  2012-08-26 15:05:49
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