うたかた
砂木

重ね合わせた掌に のせる想いは煙り
ろうそくと線香の火に 日常が遮断される

目を閉じ 心の奥に目を落とすと
闇の中にかすかに
小さな子が 手を合わせている
幾人いるかは 暗くてみえない
もっとよく見ようと 拝む手に力を入れると

すうっと煙りのように
小さな子が白く昇りながら姿を無くし
声もなく しろい花になった

咲いた
どこに咲いたの

目を開けて 仏壇の奥に問い掛けても
ろうそくの火と 線香の煙が揺れるだけ

花は 種から育ち
花は 花だと思っていたけれど
宿る心は花だけではなく
咲きゆく力も 種だけのものではなかった

どこに咲いたの

閉じた目の奥に 笑顔が見えた一瞬
朝が 残った




自由詩 うたかた Copyright 砂木 2012-08-26 09:28:54
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