草が熱い夏
木の若芽

「草が熱い夏」
             木の若芽

葉を摘むと
草は傷つくが
いっそう枝は伸びられるようになる
自らもともとの健康に復するいのちが
草にははっきりとある
葉を摘むわたしの
乱れた心は穏やかになり
淋しさを草と分け合い
その葉を摘んで食べれば
心やさしくなるのだ

木の皮をけずると
木は傷つくが
なぐさめるようにけずっていくと
なぐさめの白い木の身があらわれ
けずり傷つけているわたしの心の傷をなぐさめていく

草が熱い夏
しかし緑はうだっていない
草が燃える夏
しかし緑は焼かれていない
木は夏も涼しく安らかだ
夏の草に埋れて働いた体は
夏の木の陰で休めよう
うつらうつら本を読むのも
こっくりこっくり雲を眺めるのも

行く末を風のまにまに


自由詩 草が熱い夏 Copyright 木の若芽 2012-08-25 15:00:57
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