Mr.夏バテ
ズー
ほそながい野菜はよく噛んで食べるんだよ
そう、きこえる
ぼくは眠っている
がじゅまるの根元
つる植物が引き倒そうと手を伸ばして
伸ばし果てたんだよ
そう、きこえる
ばあさんの声は母の面影がある
葉を食い破る虫たちが
受話器にへばりついた姉の彼氏たちが
陰毛のように扱われ摘ままれた晩に
口をひらけばアホになる
じいさんはきゅうりをつくる
きゅうりはアホじゃ
だからじいさんは牛蒡の腕を
口癖のように振り上げる
ぼくは眠っている
がじゅまるの根元に
すべて脱ぎすてる
豚足ぐらいしか食べる気がしない