あの夏
そらの珊瑚

焼けた砂浜を
飛び跳ねるようにして
海へとかけてゆくこども
裸足の裏がじりじりと焦げる

ポップコーンが無鉄砲にはじけて白い入道雲になる
どこまでいってもたどりつけない水平線
追えばどこまでも逃げていく
地球は丸いって知ったのはつい昨日のことだった
疑問符は砂粒くらい在って
用意された答えは逃げ水のようだと知った

三角の波を越えて沖のロープまで泳いでいけば
とうに足のつかない海の底に
ひんやりとした冷たい手があって
何かをつかまえようと浮遊している

ぷかぷか浮いている板の上でしばし休憩する
ふりむけば海岸おかがあんなに遠い
おもちゃみたいな人とパラソル
乱反射する砂粒 蜃気楼

信じられないくらい
遠くにきてしまった
いつのまにか

ふりむけば何もかもがこんなに遠い


自由詩 あの夏 Copyright そらの珊瑚 2012-08-21 13:42:16
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