こころのひかり
吉岡ペペロ
埃っぽい雑駁な田舎の街道脇に
その自動車修理工場はあった
そこには世間的にいえば不幸な人間たちが住んでいた
太陽に照らされ雨には蔭り
風には押し黙り春には綻び
夏にも押し黙りひとは行き汗を拭き
秋には解け冬には雪をかぶり
行く車は素知らぬ顔で過ぎていった
父は狂い
その自動車修理工場は主を失っていた
彼女はその2階で絵を描き
姉とは絶縁し
彼女はそこから猪苗代湖に向かったのだった
母は娘を探した
そしてさいごの旅の終わりを警察から知らされた
埃っぽい雑駁な田舎の街道脇に
その自動車修理工場はあった
そこには世間的にいえば不幸な人間たちが住んでいた