ぱたぱた
しべ
喋った記憶を遡ると
人の中で泳いでる
かたちはおそらく金魚で
よく冷たい水に潜る
ぷくぷくと泡が声に変わる
耳には届かない
書いて書いて書きなぐって
でも読めないので泳ぐ
紙は水槽の横でキラキラしている
メールは魚より速い
でもときどきどこかで死ぬ
紙縒だ
亡骸を見ると喉が渇く
冷たい茶の中に落としたら
赤く滲んでまき散らし
泳ぐ泳ぐ
風鈴が見える
夏のあいだは
あれと扇風機がよく話している
いまは萎んだ朝顔の事で
カタカタ笑っている
てきとーな奴らだ
自由詩
ぱたぱた
Copyright
しべ
2012-08-16 15:05:13