べたな
あおば

                  120816


降る雪を抱えて祈るダンゴムシ
ニトログリセリンを抱えている君は
まるで凍えてるみたいだと思うが
祈ることもせずに後ろを気にしながらそっと歩く
背景には針のように尖る三日月に寄り添う明星ヶ岳
代わり映えのしない山肌も赤みを帯び
賑やかなガクダンが往来を闊歩して
リズムカルな一輪車の群れに追い抜かれ
立ち番指導教諭の鋭い眼に怯え君は校門近くで右に曲がる
その先には暗い工場が建っていて
君の訪れを待ち続けている
路傍の腐れ筵にダンゴムシの群れは蹲り
今朝も微動だにしないが
べたなはみくらまぶしがけ
呪文を唱えると鈍色シャッターが上がり
番組が終わる
配達完了の4文字が飛散して
君の背中に逆さまに張り付いた


自由詩 べたな Copyright あおば 2012-08-16 09:31:19
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