果てに、
AquArium

生ぬるい大型トラックの風が
スカートを捲くらせてしまう
わっ
と手で押さえたあたしを
見ていたかどうかなんて
煙草の煙で分からなかった

最近の暮らしぶりも
カメラの趣味のことも
空白に殺されるのが怖くて
必死で並べてみたけれど
どうもしっくりこない
時刻は23:02

核心
に触れるのはどちらが先で
プライド
という牙城をどちらが先に
崩せるんだろう
もう9つの季節を素通りしてしまった

ハンドルを切らないで
まっすぐ何処までも
突き進んで波止場まできたら
気づくかもしれない、
愚かさにまだ
目を背けて車を走らせたいよ

些細な言葉の変化にだけ
やけに敏感になっては
都合のいい妄想で生きてきた
2人は
現実という曖昧なものを
驚くほど、警戒している

お久しぶり
って
何食わぬ顔で言い合う
それは水の輪郭に触れるような、
脆い感触
目の奥が霞んで君が滲んできた

一瞬でつくられてしまう
憎しみと恋しさを凝縮した風が
2人をなぎ倒して
息ができない、
そんな夏に
一緒に死んでしまいたいと思った







あたしは
死んでしまいたいと思った


自由詩 果てに、 Copyright AquArium 2012-08-14 20:29:02
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