この胸の中に

たくさんの海を隠している

波のしじまに
アオウミガメ

置き去りのニケ

一粒のあぶく

七つの海、というけれど

境界（くぎり）というものを私自身は知らない


光の中で青だけは透過
一番近く、思い出せる

神様が赦した色だから

宇宙（そら）から見てもきれいでしょう？

深く、深く、

沈む　沈む


酸素がひとつ、

光にむかってゆっくりと

誰かが愛してくれますように
誰かを愛してくれますように

海原を渡る鳥も羽を休めて

幸せについて肯定できる時が来ますように



この胸に、たくさんの海を隠している

星も

愛も

希望も

夢も

憎しみも

荒れ狂う海の下にも何かが生きている

夕凪を待つにはまだ早いのかもしれない



わかっている、なんて言葉は信じない

だって


たくさんの海を隠しているんだよ


この、胸の中に