向日葵のこと (2012)
AB(なかほど)

向日葵のこと (2012)



話の腰を折ってすみません
思いもよらず向日葵が見えたので
つい
その
いつまでも変わらない気持ちもあるのかなぁ
なんて
こと

いつもの駅に向かう道の角から
いつもの方向とは違う方を見ると
昨日まで気づきもしなかった
3万本の花が同じ方向を向いていました
それは南ではないのですが
同じ
方を向いていました

それで
土をしっかり踏んで
生きていたいとか
思ったんです


いつぞや
家内が向日葵の歌など口ずさんでいましたが
いつのまに
いつのまにか
ほら


追い越されてゆく
ことは
ずいぶん幸せなこと
だと思います





向日葵娘 (2003)


向日葵の迷路で迷いながら倒れこんで
そのまま眠りにつきたい
とつぶやきながら汗を拭い
晩夏の土間を掃除なんかしてる

今どき土間なんて貴重よう
なんてPTA会長がすました顔で言ってたけど
もう時代に合わないものは
使い勝手が悪くて
なんて言いながらも

姑が残していった糠は
今年もどうにかうまく夏を越したようで
そんなことが
普通に嬉しかったり

向日葵畑で踊ることを夢見てた娘は
どこに行ってしまったんでしょう
と鼻歌まじりに
糠床をこねくりまわす

今年の冬からは
かぶらずしも漬けてみようかしら

ああ
こんなことでは
こんなことではあ
私の中の向日葵娘は
どこに行ってしまうのでしょう
と鼻歌まじりに





  


自由詩 向日葵のこと (2012) Copyright AB(なかほど) 2012-08-11 17:20:11
notebook Home 戻る  過去 未来