配備中の安全性
あおば

              120808


どこまでも美しい空に
白い雲が流れてゆくよ
もうすぐ秋だよ
もうすぐ破綻だよと
オリンピックも
盛夏も楽しめないよと
初老のど根性が
上目遣いにゼブラゾーンを彷徨いている
あぶないあぶない信号がもう変わるよと
大声で注意しようとした途端
安全性は保証されているとテレビが叫ぶ
先を越されたと声が詰まったまま見守ると
なんとか向こう側の歩道に辿り着いたようで
イライラした車の列がその身体を隠す
頭だけ雑踏の中を右方向にゆっくりと進み
いつ整備されたのかわからないアーケードの方に消えていった
これはいつもの景色かも知れないが
ど根性も信用ならないとはらはらしながら見守った人々は思ったかも知れない
かのように信用を失った人々が歩いて行く先はどこなのか
近視なので遠目が利かず特定出来そうで出来ないのがもどかしいが
街頭には機械の目、監視カメラが隈無く設置されたりして
街の保安性を高めようとしている
整備中のものも含めると相当の数になるが
今では景色の中に溶け込んでいて気にする人は少なく
常に撮影されるたくさんの画像データーが一時的に蓄積されそれをチェックする人もなく
利益を生むと信じられている必要な項目だけは数値化されて別の処に送られるようだ
数値化されるともうそれ以上精査されることもなくなるようで・・、お後がよろしいようでと
落語ならここでお辞儀をして楽屋に引っこむのだが
ここでは後には誰も続けようという人がいないから
あなたがいつまでもどこまでも続けて行かなければならないのさ







自由詩 配備中の安全性 Copyright あおば 2012-08-08 15:09:39
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