汗をかいて生きよう
シホ.N


ぼくはただもう
汗をかいて生きよう
排ガスさえ流れてこないよ
よどんで静止する空気のなか
一瞬!の風を
ヨットの帆のよう
全しんをぱんと張って受けている
止まっては溶けつつ
ひたすら冷えた瞳のみひらく

ぼくはもう
汗をかくばかり
もやもやとかげろうの立つ
アスファルトの上
ぶるるんとエンジンのひとふき
ぽたりと汗のひとしずく
ぼくのcub走る

あなたと偶然出会った夏の日に
止まってしまいそうなときを
ぼくはせきたてていた
みんみんと
せみが鳴いている
汗をかいて生きようと思ったぼくの額に
冷や汗がひとつふたつ

ああぼくは
汗をかいて生きよう
あつさのためでなく
あなたの視線に冷や汗流れる!
ぼくは汗をかいて
かっこう良くない汗をかいて生きよう

異物のようにほろほろ
汗が流れて
あなたの声も流れて
かなしみも流れて
ぼくの生命も流れてゆくんだろ



自由詩 汗をかいて生きよう Copyright シホ.N 2012-08-07 19:08:19
notebook Home 戻る