ロック・アラウンド・ザ・バンカー
ホロウ・シカエルボク





ロックしても
ノックしても
おまえのこころはどうにもならない
おまえはまるで壊れたアラーム
そのときがきたって起動することなんかないのさ


裏通りじゃドラッグの運び屋をやってるティーン・エイジャーと
警官隊との間でちょっとした銃撃戦が始まってる、ヘイ、窓を開けてみなよ
おれがおまえにそう声をかけたちょうどそのとき


訓練通りに狙いをつけて一人の警官が
運び屋のボスらしきやつの頭を撃ち抜いた
おー、派手な血しぶき、アンダーグラウンドで打ち上げられた
でっかいでっかいファイヤフラワー、途端に
まとまりを無くす運び屋たち、警官隊が一斉に飛びかかって一網打尽
ヘイ、すごい見世物だったぜ
おまえは「そう」とひとこと言っただけ


おれはバスルームでアスピリンを飲み、それから顔を洗って歯を磨いた
部屋に戻るとおまえは、目を開けたまま寝ている、ぶつぶつと寝言をつぶやきながら
おれは「降参」のポーズで寝室、十字を切ってベッドに寝転ぶ、神様なんか信じてるわけじゃないけど
神様なんか信じてるわけじゃないけど


ロックしても
ノックしても
おまえのこころはどうにもならない、ドランカーみたいにうつろな目をして
ときどき昔読んだ
古い詩集のフレーズをたどたどしく口にする、なあ
その詩なんて言うんだ、おれがそう聞いても


クッションを抱いてニヤニヤしているだけなんだ






自由詩 ロック・アラウンド・ザ・バンカー Copyright ホロウ・シカエルボク 2012-08-06 22:56:03
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