世界へ
nick

あたたかい場所で生まれた君
里から街へ手帳を埋めて
愛に潜り込んで鍵を渡して
拾ったものは忘れてしまう

ためらいの扉
完全をめざす計画と
雲ひとつない青空の頂点
硬直した博士の指

そういったものは全部
君をばらばらにさらってゆく
この部屋にだけは来ないで、
夜と昼がまざった部屋に

祝福の音を重ね
星に照らされ眠る日々は
壁の染みを少しずつ
濃くしていき、喉がいたい

ただ静かな砂の上に
集めたものを並べてみる
きれいな声で君を呼んでいる
そして時間をかけず沈んでいく

周りを見てはいけない
引き寄せてしまう
影と影と影と影
君のかたちをしているの

返せ

涼しくって重い風にオレンジ色ひとひら
君だけの大地に雫が染み込んだ


自由詩 世界へ Copyright nick 2012-08-04 02:30:40
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