足し算---a hidden curriculum before supper
N.K.
夕食前に
好きなウィンナーでもいい
好きそうで好きではないチョコバナナでもいい
夏だからアイスがいいのか
まず最初に7本 さらに2本食べることになっている
ぜんぶでいくつ?
夕食前なのに
そんなにひとりで食べたら
ご飯が食べられなくなるとか
おなかを壊すという懸念はともかく
小学校に上がったばかりの娘は
足し算で困っている
ぜんぶでいくつ?
左手で5を作り
右手にもった2Bの鉛筆をテーブルに一旦置いて
空いた右手で2を作る
ぜんぶでいくつ?
さて夕食前だが
これに2を足さなければならないので
娘は困っている
両手をじっと見て困っている
これでは夕食が食べられない
娘は困っている
これでは周りも皆 夕食が食べられない
(しょうがないな)
自分の指をチョキにして
娘の目の前に差し出してみる
ほら(こうしたらどう?)
一瞬、娘はびっくりするが
はじけるように
笑い顔をこちらに向ける
小さな指7本と
ごっつい指2本を数えて
ぜんぶでいくつ?
7+2は
困っている人+寄り添う人(になるならいいな)
ぜんぶでいくつ?みんなでどうする?
そして答えは
子どものはじけるような笑い声と中年男の緩む頬
ぜんぶでいくつ?みんながいてよかった
夕食までの
an arithmetical hidden curriculum just in my family
一般性を持つ契機は皆無だろう
足し算で両手をじっとみて誰かが困っていたら
足りない本数の指を 今度は娘よ
その人に差し出してあげると面白いかもしれないね
夕食までの
an arithmetical hidden curriculum just in my family
一般性を持つ契機は皆無だろう
こうして夕食となり
こうして娘から
足し算のやり方はどこかへ霧散して
娘の
足し算の道のりはまだまだ長い・・・