一家断絶
灘 修二

秋の落日が傾き、
銀杏の木影が長くなるとき
かあさんを追って
銀色に輝く
DNAの
螺旋階段を
駈け登る

ぼくの上の階段を
かあさんが登る
その上の階段を
おばあさんが登る
会ったことがない
ひいおばあさんが登る

急いで
ぐるぐる
ぐるぐる
登る
この階段は
目が回る

ぼくの終わりまで登る
つながって登らなければ
この階段は切れてしまう
終わりのない旅

ぼくのあとは誰が続いているのだろう
ふりむいたら
のっぺらぼうが
ぼくを追っていた

ぼくは
驚いて
階段から足を
踏み外して
転落。
連鎖している
かあさんも
転落。
その上の
おばあさんも
転落。
ひいおばんさんも
その上の人も
またその上の人も
全員転落。

一族の終焉と枯葉舞う秋の夕暮れ。


自由詩 一家断絶 Copyright 灘 修二 2012-08-01 21:42:09
notebook Home