即興情熱
rabbitfighter

温かい営みの後で
身体が小刻みに震えていて
心を引き離そうとする
宙吊りにされたロマンティックな機械が
風ではない力によって
ゆらゆらと揺れている
もう時間が来たのだと
その時に思う
温かさは川のように流れ出して
身体には冷たさしか残らない
ブランコ酔いで足元がふらついて
もう時間が来たのだと
その時に思う
流線型の拷問器具
どう使うかは君しだい
温かさを注ぎ込んで
絶望という名の希望にまみれる
いわくつきの機械が
ゴルバチョフのペレストロイカによって
開放される
もう時間がきたのだと
その時に思う
道の真ん中で
猫が眠る
まだ子猫で
目やにと
鼻水が
あたたかくて
死にかけている
次々と
産まれてくる
絶望という名の
確かな希望
君が手にしているのは
去年の夏の
線香花火


自由詩 即興情熱 Copyright rabbitfighter 2012-07-30 01:10:16
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