(無題メモ)
中川達矢

逆立ちすれば、
世界はただしく上下が上下になる。
光は網膜で反転し、
視神経に虚像を届けているから。

こうやって言えば、簡単。
それっぽい。
けど、
言葉で説明されても
それが本当かどうかなんて
わからない。

自分の目は、
自分の目を見ることができない。
それが本当かどうかなんて
わからない。

鏡。
左右反対の自分を見て、
かっこうを整えても
他人は、
左右反対の左右反対の自分を見ている。

左右反対の自分と
左右反対の左右反対の自分は
どちらが本物でしょうか。

視神経にうつった虚像は
本物の世界なのでしょうか。

逆立ちしないことが当たり前。
そうやって当たり前だらけの世界は、
本物の世界なのでしょうか。

たまには
逆立ちして、
いわゆる実像、
の世界を見ても
いいのでしょうか。
それは、
本物の世界なのでしょうか。

虚像でも
見ているということは、
自分にしかわからない
世界があるんじゃないでしょうか。


自由詩 (無題メモ) Copyright 中川達矢 2012-07-28 00:12:03
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