そらと君とかぜ
乱太郎

 
そらがあって君とかぜ
僕の持ち歩く六号の亜麻に

そらはなんども重ね塗りされ
凹凸が出来るたびにナイフで切り取っていく
そのとき僕はそらを見失い
しばらくして光りが絵筆を握ってくれたとき
指し図されるままに配色していく
薄い緑で記憶の曖昧さに霞んでいくこともたびたび

そらはなんども呼吸する


そらがあって君とかぜ
僕のそばにはいつも六号の亜麻が

君はそこから飛び出し
アクリル板になった僕にいたずらする
凹んだり膨らんだり
揺れるたびに僕に貼り付いたそらは歪んでしまう
玩具だもんね
まだあどけなさの残る君にとっては
記憶の断片は戯れでしかないのだろう

そらはなんども故障する


かぜがあって君とそら
飛ぶことのない時間の翼を手にしたいと
夢見ながら僕らはいつも歩いている
たんぽぽを運ぶ風の方向へ
笑っているはずの空の方向へ


自由詩 そらと君とかぜ Copyright 乱太郎 2012-07-27 15:58:22
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