心臓の領地
高原漣

愛蔵された内臓

視界の端に捉えた死海の嵐

これらに笛を吹きつつ

解決する領土問題

売りに出された仔猫の心臓

入札者は誰?

肋骨の隙間からのぞいている小さな国

魂の宝玉、神聖にして侵すべからず。

思惑は胸郭の外で回ってゆく。

競売は進む、釣り上がる額、飛び来る黄金の弾丸

あまたの怪物が領土を踏み荒らす!

最後に残された領地へ食い込む千、万の牙

木槌の降る音と共に

心臓の領地は陥落した。


自由詩 心臓の領地 Copyright 高原漣 2012-07-26 03:06:16
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