急襲と吸収
灘 修二
休日で賑わう雑踏を彷徨していると
あいつは俺の心臓を奪って
逃走した
俺は追いかけた
だが
心臓のないわたしは
三歩と進めず倒れた
散歩の人に
追いかけてくれと
頼んだが
心臓がないので
声も出ず
向こうの角で
振り返って
にやりと笑うあいつを
見ているだけ
くやしさが
つきぬけた
空色を
見て
胸を空っぽにして
死んだ
自由詩
急襲と吸収
Copyright
灘 修二
2012-07-25 00:07:29