左手首
HAL

ぼくの左手首には縫った傷痕が
はっきりと分かる様に残っている

外出の時は腕時計で隠せるけれど
家にいる時は時計は外すので
意識しない時にその傷痕が眼を突き刺す

愚かなことをしたものは
その愚かさから火葬場で骨になるまで
忘れたくても絶対に忘れることはできない

どんな理由があったとしても言い訳は通じず
ぼくが自ら押した馬鹿の烙印が消えることはない

自業自得だけど自殺未遂はこの世から去るまで
自分自身の愚かさに苛まされて当たり前なんだ





※Mademoiselle Mへ。
シリアスにお考えなさらない様に。昔 今川義元の軍師であった太原崇孚雪斎が残した『己が心を露け出すのも慈愛であろう』の言葉を信じただけです。


自由詩 左手首 Copyright HAL 2012-07-24 23:11:57
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