グラデーション
清風三日月

街を歩いていると
ある一軒の店が
目にとまった

カラフルな店内に
吸い寄せられるように
店に入る

どうやら手芸用品店
のようだが
とにかくカラフルな
資材が所狭しと
並んでいる

奥にはお婆ちゃんが
一人座って
『いらっしゃい』
とニッコリ笑う

僕は毛糸売り場で
足を止め、ある毛糸玉
を手に取った
それは一本の毛糸が
虹色にグラデーション
をかけられた
見ているだけで
楽しくなる毛糸玉♪

君がよく編み物を
していたのを思い出し
思わず笑うと
お婆ちゃんが
話し掛けてきた

君と出逢って
笑いジワが増えた僕は
よくお爺ちゃん
そしてお婆ちゃんに
話し掛けられる
ようになった

『編み物はね
人柄がよく出るのよ
急いでもダメ!
ボーッとしても!
真面目にコツコツ♪
そしたら、こんな
素敵な物が出来るのよ』
と僕が手に取った
毛糸で編まれた
バッグを見せてくれた

とてもとても
綺麗に編まれた
虹色のバッグは
僕を思わず
元気にし
笑顔にさせた

まるで君のように
僕の心を明るくさせた

結局、僕は何も
買わずに店を出たが
振り返ると
お婆ちゃんが
入り口まで来て
見送ってくれていた

僕の心に
綺麗な虹が
架かった気がした
見事なまでの
七色のグラデーション
の虹が…♪

夏色の空に
心に架かる虹

また君に逢いたくなった


自由詩 グラデーション Copyright 清風三日月 2012-07-24 15:50:20
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