街角の風景
そらの珊瑚

横断舗道を
小学校六年くらいの
男の子たちの集団が
渡っていく

夏休みが始まったばかりだというのに
どの子も
こんがりと日焼けしていて
プールでもいくのだろうか
子犬がじゃれ合うみたいに
駆けていく

タタタッ
ダダッ
クルクルッ
ぴょん

点滅し始めた信号が赤になる
数歩遅れてきた子は
ひとりだけ
横断舗道を渡れなかった

先に渡った子らはどんどん行く

すると
最後尾の子がふりかえり
歩みを止めた

そのまま
じっと待っているようだ

いい子だなぁ
嬉しくなると同時に
哀しくなった

あの子は死んでしまった
最期に待っていたのは
固いアスファルトだけ
せめて
一人でも
待っていてくれる友達がいたら、と
哀しくなった

炎天に
アスファルトさえも溶け出すような
暑い夏がやってきた




自由詩 街角の風景 Copyright そらの珊瑚 2012-07-24 08:24:25
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