落ちない胞子
灘 修二

刑期を終えて
わたしは芽を吹き返した
太古のシダ生い茂る
たくさんの母の菌糸から
ひとつの胞子として
生き返った

午睡を終えたら
旅立たなければならない
兄弟姉妹と
浮き世の別れを惜しみ
わたしは胞子となって
風に吹かれた

飛行するわたし
浮遊するわたし
潤う地表からは遠く
干からびた太陽に近い

風まかせ
100万年浮遊する
わたしは落ちない胞子
落ちない終身刑に処せられて
死ぬまで宙ぶらりん


自由詩 落ちない胞子 Copyright 灘 修二 2012-07-24 00:48:17
notebook Home