雨読物語
ただのみきや


読みつかれて ふと
雨音に包まれて

物思いに耽る蛙と
草むらに潜む

文庫の中は
土砂降りの文字
連なり意味成し物語り
意識下に滲み濾過されて

何を読みたいわけでもなく
ただ
文字の雨に打たれていたい

頁の数は蝸牛

心には別の本があるようで
どこからか円い水が湧いてくる

窓を開けて
斜線入りの景色に手を伸ばす
そんな日も
あって良い


自由詩 雨読物語 Copyright ただのみきや 2012-07-19 23:38:11
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