初蝉
そらの珊瑚

夏を待つ間
透明な
ガラスのコップに
冷たい水を注ぐ

満ちていく
満たされていく
透明な入れ物に
透明の中身で

夏が来る頃
どこからともなく
水滴が現われて
コップの魂を捨て去るようにして
流れていった

庭先で
タチアオイが
ものもいわずに立たされている
この世の罪をまるで背負っているように

人は皆
なんらかの
罪を犯しながら
生きている

どこかで
搾り出すような蝉の声が聴こえてくる
超音波のような音が
鼓膜にぶつかりかなしみと共鳴する

蝉の魂は
あの声とともに
今はまだ
暗い土に眠る同胞に届くのだろうか


自由詩 初蝉 Copyright そらの珊瑚 2012-07-18 13:31:22
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