アスファルトの向こう側
まーつん

少年は飛んで行った
アスファルトの空に向かって
自由が欲しかった この世は生ける監獄

少年が泣き叫んだ時
世界は耳をふさいだ 目を閉ざした
口をつぐんだ そして今
彼が手の届かないところへ去った今

世界中が語りだした 聞くことについて
見ることについて 話すことについて

少年は笑っている 朗らかに笑っている その声が
議論の沸騰する 鍋の底から見上げる
蓋のあいた 青空に溶けて

誰も知らない
殺してはいけない理由を

誰も知らない
人が生きる訳を

誰も知らない 誰ひとり


自由詩 アスファルトの向こう側 Copyright まーつん 2012-07-15 10:57:10
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