歩いている。
永乃ゆち







わたしは

何処へ行くのだろう。

足元だけを見て

歩いてきた。


行先なんて決まってなくて

ただひたすらに進み続けた。


今、立ち止まってみると

道は長く伸び

その先は見えない。


わたしは

何処へ行きたいのだろう。

何をしたいのだろう。


耳元で囁く声がする。

(あの人の元へ行ってしまいなさい)

いいえ。

それは許されない事。


ただひたすらに歩き続けて

わたしが得たものは

背徳の愛だけだった。


けれどもわたしは

それを手放せずにいる。


わたしは

本当は知ってたんだ。

わたしは

ちゃんと分かってたんだ。


何処に行きたいかも。

何処へ向かって歩いているかも。




ただひたすらに歩いている。

あの人の元へ行けないままに。

円を描いて。

同じ場所を。

ただ

歩いている。


自由詩 歩いている。 Copyright 永乃ゆち 2012-07-12 23:06:10
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