蛇の影
和田カマリ
夜歩く俺の事を
奴は知っていて
狙いやがった
本体から分離して
暗闇に潜む奴は
アスファルトを這って
後を付回していた
街路灯の下で
急に飛び出してきて
俺の影に噛み付くと
また暗闇に消えて行った
神経性の毒を持つ
奴に噛み付かれた
俺の影はもう
俺の動きをうまく
トレース出来ない
俺はアーミーナイフを出し
噛まれた影の首筋を映す
アスファルトをカンカンと
火花を飛ばして
打ち据えていたんだ
毒抜きのためとは言え
自分の影に道具を使った
今夜はなんて
なんて冴えない夜
自由詩
蛇の影
Copyright
和田カマリ
2012-07-11 16:22:17