スイカ
小原あき
わたしがスイカを食べる
それが血液となり
まだ小さい
息子のご飯となる
不思議だ
息子は確かに
わたしのお腹の中にいて
わたしの作った卵から
生物の進化を経て
生まれてきた
おぎゃあ、と泣く
その声には
わたしとは別の人格があり
確かにわたしの分泌物である息子が
わたしの意志とは関係ないところで
泣いている
不思議だ
小さな種から
大きなスイカが生るように
小さな種から
立派な一つの人格が生まれる
不思議だ
やはりわたしは
このスイカと
同じなのだと
汗の中
息子を抱いた
自由詩
スイカ
Copyright
小原あき
2012-07-10 11:28:47