幼子の頃
藤鈴呼


私は盗人なんじゃ ないだろうか
偽善者では ないのだろうか
自問自答しながら 頭を振るから
生きて いられる

首が 真っ二つに 割れずとも
直線状に
そう 例えば
雷が 大木を 貫く角度に 動いた刹那
それが 雨後だとして
私は 笑って 生られるだろうか

あの実は 確かに 有った
誰のものでも なかった
あの里は 私のものだったけれど
あなたのものでも あったから

大木が揺れたのは 風の所為で
風が流れたのは 
地球が 回っているからで
どちら側から 歪んで行くのかは
感じられない

似通った路を歩くと
新しい実が 落ちていて
嗚呼 可愛いな 食べたいな と
頭では 思うことが 出来るけど
首が 動かない
下を 向けない

上ばかりを見て
空ばかりを 感じて
嗚呼 キレイだね の 繰り返し

それでも 楽しかったんだ
歪むのは 虹の光
カラフル加減には
的も 限りも 無かった

認めてしまおう
もう この位で いいやって
暗い地面を 見つめるのは
涙が 流れたから

尺球の白菊は 夜空に咲く 冬の花火
スターマインは 信号じゃあ 足りなくて
紫色を そっと 足すのです

ケヤキ色の 光のページェント
ペイントされた 壁の落書きと
きっと 違わない

あなたの言葉に ハッとする
なぞるように カップの淵を
そっと 撫でた瞬間
あなたに 撫でられた
幼子の頃を 思い出した

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自由詩 幼子の頃 Copyright 藤鈴呼 2012-07-07 23:45:53
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