かげふみ
nonya
赤いサンダルと
傷だらけの膝小僧
くくく っと
笑いをこらえた君の影が
僕の靴をはらりとかわした
日曜日の太陽は
すぐに傾いてしまうから
それぞれの
背中に淋しさを背負ったまま
ころころとはしゃぎ回っていた
長くのびた影は
ほどなく闇に届いて
記憶のいちばん深いところに
静かに沈んでいった
ずいぶん長い間
たくさんの影を踏んづけたり
自分の影を何度も
踏みにじられたりして
僕はこのオニだらけの街で
なんとか生きのびている
そして
夏が来るたび想い出すんだ
ひとつひとつの影が
もっともっと鮮明だった
緑と水と風の平野を
ところで
僕はずっと
オニのままだったんだっけ
本当は何を追いかけていたのか
もうとっくに
忘れてしまったけれど