文字が空から降ってくる
まーつん

文字が空から降ってくる
あられみたいに降ってくる
だけど地面は乾いたままで
溶けることなく積み重なる
文字、文字、文字、文字…

文字が空から降ってくる
僕らの周りに降ってくる
それは互いを遠ざけて
冷たい仮面の衣装を着せる

文字の海を 掻き分け 掻き分け
僕はあなたに たどり着く

けど 腕をつかんだ瞬間に
あなたは 本に姿を変えた
僕は ページをむしり取り
自分の口に 押し込み始める

ああ ここで 沢山の詩人に囲まれて
僕は たった一人だ

みんなが みんな 多分そうであるように

みんな 人生の清算を始めた
不思議な レジスターのように
口から 詩を羅列した紙切れを
規則正しく 吐き出している

僕はそれを拾い集めて
生身の人間を見つけようとしている

なんて 馬鹿なんだろう


自由詩 文字が空から降ってくる Copyright まーつん 2012-07-04 23:01:06
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