穴倉から這い出して
まーつん

生きる理由を探して 世界を見回してみても
目に映るのは 影ばかり
闇の中に暮らし続けてきた君の目は
眩しすぎる光を浴びて めくらも同然

穴倉から這い出して
看板に書かれたルールを読もうと
鎌首をもたげる一匹の蛇 
連中は君を名指しして
悪魔だと叫びたて
槍で串刺しにし 火にかざした

君は 体をくねらせ苦悶する
自分は 仲間にはなれないのだと 絶望の中で悟る
この鱗の光る身体 長く細い舌が 彼等を嫌悪で震わせるのだと

穴倉から這い出して 君は世間の刃に触れた
焚火の周りに輪を作り ゆっくりと回りながら なにがしかを詠唱する人々

そのまなざしの一つ一つが 焼けただれ 煙を上げ
血を流しながら黒焦げになっていく 君の姿を味わっている

君は招かれざる客
影の国からの来訪者
祝福された無数の手が
その魂を八つ裂きにする

穴倉から這い出して

穴倉から 這い出して


自由詩 穴倉から這い出して Copyright まーつん 2012-07-02 23:41:48
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