牛の背中にどうやって乗ろうか
初代ドリンク嬢

牛の背中に乗って
のんびりと知らないところを
あてどなく行く

色んな人に出会って
色んな景色を見て
のどが乾いたら牛の乳を飲む

でも、結局
目に映るのは
やっぱり
おんなじで

広い丘に出ると
同じ方に向かって
まばらに人が歩いていた

牛と一緒に進んでみると
底が見えないくらい深い崖があった
なのにみんなは崖に気付かず
歩き続けて
落ちていく
そのうちたくさんの人が
色の黒い人も
白い人も
お金持ちも
病気の人も
サンドイッチを食べながら
キスしながら
けんかしながら
崖に向かって歩いてる事に気付いた

崖の下に向かって

私は牛に乗っているから
牛が崖に気付いて
牛は立ち止まるから
端っこの方で
落ちていくみんなを見ていた
みんなはわたしたちに気付きもしなかった

「さあ、戻ろうか」

牛の背中に乗って
引き返して
今度こそ
知らないところへ行きたいのに

牛は動かない
だから、
私は落ちているのに気付かないみんなを見ていた

牛と一緒に





自由詩 牛の背中にどうやって乗ろうか Copyright 初代ドリンク嬢 2004-12-09 22:51:06
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