夜道
中川達矢

財布とケータイだけ携えて、ひとり
夜道をドライブする
行く当てもなく、本屋にたどりつき
駐車料金と550円を支払って
本屋をはしごする、ひとり
夜道をドライブする
行き先どおりに、本屋にたどりつき
駐車料金と120円を支払って
家路につく、ひとり
夜道をドライブする
あいだ、ひともくるまも通らない交差点で
赤信号を前に止まる、ひとり
15秒の歳をとる、みんな
さっきすれ違った薄着の少女の
生まれてからさっきまでの
あいだの
十何年かを
2秒の出会いと別れで知ったつもりはなく
思い返そうとも思い返すつもりもなく
青信号を前に進む、ひとり
見落とされていく、みんな
思い返したいひとに
夜道で出会えることはなく
時速0kmになって
家に着く、ひとり
夜道をドライブした


自由詩 夜道 Copyright 中川達矢 2012-06-30 23:21:18
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