宇宙の塵
……とある蛙
宇宙に拡散された水滴の表面張力に支持された塵芥
大きなものは大陸その千切れた微小な島嶼程もあり
十分に人類の生存するスペースたりうるが
ごく僅かな身震いに過剰に反応する塵芥達
化学反応を起こそうにも液体の球面に引っ張られて
何時までも宇宙に向かって口を開けている塵芥達
漆黒の無限空間は星達の瞬きはなく
一定量の光子の波が微量降り注ぐ
死の空間でロマンチックな妄想と
絶望的な現実との狭間でひ弱な人工物が行き交う
それを千切れた微少な脂分の上で見上げ口を開ける塵芥達
宇宙との交信は隣人との交際よりよほど容易に思え
太陽が陰ると言っては大騒ぎし
天体ショーなどとアイドル歌手の無料公演のような扱い
オリンピックよりよほど貴重な日食月食
などと何も影響のないことに血道を上げる塵芥達
暴飲暴食鯨飲馬食
そんな日々に宇宙は全く存在しない。
ただ真っ黒な真空の闇に
誇りや良心、理想や希望は吸い込まれて
自堕落
偶然、上を見上げると嘔吐
虹色の粘液と臭気性の固形物が
空を舞い宇宙に溶け込む
絢爛たる隠喩のつもりだったが、
理解どころか
傲慢
また、嘔吐