宇宙の塵
……とある蛙

宇宙に拡散された水滴の表面張力に支持された塵芥
大きなものは大陸その千切れた微小な島嶼程もあり
十分に人類の生存するスペースたりうるが
ごく僅かな身震いに過剰に反応する塵芥達

化学反応を起こそうにも液体の球面に引っ張られて
何時までも宇宙に向かって口を開けている塵芥達

漆黒の無限空間は星達の瞬きはなく
一定量の光子の波が微量降り注ぐ
死の空間でロマンチックな妄想と
絶望的な現実との狭間でひ弱な人工物が行き交う
それを千切れた微少な脂分の上で見上げ口を開ける塵芥達

宇宙との交信は隣人との交際よりよほど容易に思え
太陽が陰ると言っては大騒ぎし
天体ショーなどとアイドル歌手の無料公演のような扱い
オリンピックよりよほど貴重な日食月食
などと何も影響のないことに血道を上げる塵芥達

暴飲暴食鯨飲馬食
そんな日々に宇宙は全く存在しない。
ただ真っ黒な真空の闇に
誇りや良心、理想や希望は吸い込まれて
自堕落
偶然、上を見上げると嘔吐
虹色の粘液と臭気性の固形物が
空を舞い宇宙に溶け込む


絢爛たる隠喩のつもりだったが、
理解どころか
傲慢

また、嘔吐


自由詩 宇宙の塵 Copyright ……とある蛙 2012-06-28 17:16:04
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