高速道路
草野春心



  きみの口から
  高速道路が伸びていた
  ビュンビュンと車が行き交う
  粘液のような真夏の夜に
  赤い光を撒き散らして



  そこには、一台だけ
  逆走しているのがいたので
  僕はそれを指でつまんで
  粉々にすりつぶして
  服の裾で拭った
          
          
          
  そして僕は戸棚から
  レモンをひとつ取り出し
  両手を使ってぎゅうぎゅう絞り
  混みあった道路の上に
  きらきらの果汁をこぼした





自由詩 高速道路 Copyright 草野春心 2012-06-27 21:00:16
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