汽車の車窓から
……とある蛙

客車の窓から外を見て
景色が後ろへ飛んで行く

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ


山は青から朱に変わり、
不気味な道が這い回る。

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ

谷間を縫って走ってぐ
汽車の窓に迫るのは

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ

不気味な山裾、山の端
線路はまっづぐ山裾へ

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゃらしゅっしゅっしゅ

急な勾配 スイッチバック
蒸気機関車、客車の窓に

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ

山それ自体が膨らんで
線路はくねくね山頂へ

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ

金比羅ふねふねおいけにほかけて
しゃらしゅっしゅっしゅ
スイッチバックでどんどんと
不気味な霧が立ち籠める

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ

頂上から先 何もなく
蒸気機関車 空を飛ぶ

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ

何事もねがったように空を飛ぶ
ぐねぐねぐねぐね空を飛ぶ

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ

跡形もなくどこへ行く
僕らを乗せてどこへ行く

しゅっしゅらしゅっしゅ
しゅらしゅっしゅっしゅ


自由詩 汽車の車窓から Copyright ……とある蛙 2012-06-26 16:53:58
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