うんち

かたちのない草原。
熱い草のむれが どこへでも広く続く、
理由もなく 端はなく ただ真っ黒な宇宙の闇まで繋がっているそうな。 
強くうねり そばに生きるいのちを引きちぎってしまう程の圧力を己のものとして
引きちぎる音に音が反射して うち放たれた音は 地球を支配してしまう。
音のかたまり
途方もない この草と音の中で ひとり 立ち尽くしている人間がいた。
じきに 草のむれに 吸い込まれ 引き千切られるだろう。
人間は 目に 涙を 溢れさせていた 涙の中からは 目が生まれていた
その目は 100粒の涙をこぼして 100粒の熱が 草を殺していた。
人間は指先から草に縛られていく。指先から徐々に引き千切られていった。
100本の草の死体とひとりの人間の残骸が宇宙の闇へ吸い込まれていった。


自由詩Copyright うんち 2012-06-25 18:43:43
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