daydream
シンバ



大晦日に生まれた彼らの文明を 人類は世界の始まりだと信奉した。

学問によって切り刻まれた ちっぽけな歴史に 識者は壮大な未来を夢見た。

夢は続いた 幻はどこまでも広くて 霧がどこまで深くて

霧が晴れたころには 地球の受胎にまで 行き着いた

その頃には マクロな視点で佇むと 痛みは和らぐことを 彼らは発見した。





手と手を繋いで 輪になって 敷地をはみ出したところは 切って小さく輪になって

角張ったところは 離して繋いで 輪になって 

丸を目指して 形を整えたら 歪な輪のおとなりさんとご一緒に 

古いのと新しいのをとっかえて 切って離して 繋いで繋いで輪になって

もっと! もっと! もっと大きく!


 



見てごらん 痛みからの逃避が 地球を覆っていくよ

童謡が 風に乗って 大陸を渡っていくよ

今度は 宇宙の果てを 目指しているよ

いつまでも 続くと 信じて



父親の子守唄に 子供はとうとう寝付いてしまった

そのくせっ毛を梳きながら 父は静かにつぶやいた

今の間に いい夢を見るんだよ

いずれお前に訪れよう 四六時中 光も音もない 終わりのない夢が。


自由詩 daydream Copyright シンバ 2012-06-19 04:39:56
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