古書店
梅昆布茶

トラックのエレメントとオイル交換をしてもらう
33万キロも大地をかけぬけた偉大なポンコツだ
いきつけのスタンドの早川さんとちょいしもねたジョークで
あいさつして笑いあう

こんな日常もいいかもしれないなと思う

デリケートないすゞ車より無骨で無口な三菱車が
おれにはあってるみたいで
じみで頑丈に生きれたらいいなとおもったりもする

車庫にトラックを戻して切れているマーカーのバルブを求めに
かえりみちにあるホームセンターに寄る

その近くに気になる古書店があって市街から離れているし
駐車場もないのでたぶん客は向かいにあるローソンに
車止めてるとおもいそれにならう

かんばんはなく三か所ぐらい
壁?にK古書センターというペンキの
らくがきみたいな字でへんてつもない店名が
かいてあるのに最近きがついたのだが

たしか大昔からっぽの世界なんかをうたっていた
ジャックスというバンドの早川義夫というひとが川崎で
古書店をやっていたような...

それとか椎名誠のさらば国分寺書店のオババの
タイトルやら
御茶ノ水駅から下っていって石橋楽器やディスクユニオンを過ぎて
スポーツ店が見えて神田古書店街のはしっこ
源喜堂とか書泉グランデとかの風景がいっしゅん
あたまのなかを去来する

たぶん20数年ぶりに見たおやじは脱サラで店をはじめた頃より
当然ふけているのだが
息子はまったく店を継ぐ気はないという
いまは人生と本の在庫の整理にはいっているという
たぶん70前ぐらいの温厚なおっちゃんだ

昭和30年だいの週間アサヒが1冊50えんとか
謡いのほんらしき和とじの山積みになったものが1冊200円とか
ぼくはたぶん小学館だったと思うが日本古典文学全集のてるおか康隆監修
井原西鶴3冊がほしかったが

だって1冊350円なんだもの
アマゾンでは5000円ちかくするはず
だれにもないしょだけれども

でもまだ4月分の家賃の払いも残っているので
とりあえずあきらめる

あとは東山魁夷のセットもの4000円とか
美術書も一冊2〜300円で山積みなのだ
掘り出せばもっと怪しい本とかもでてきそうだが...

親父さんが言った

あんたやる気があるならおれのあとつぐかい?
ノウハウはおしえるからさ...

そしていま半分ぐらい本気で
考えてはいるのだが



自由詩 古書店 Copyright 梅昆布茶 2012-06-14 02:53:19
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