女神の肖像
salco
この顔はデンマークとか何とか
そんな緯度の産
しかもダ・ヴィンチの
妖艶ヨハネが指差す方角からの下賜品
ってところ
そして色素の少ない
血色もないこの乾いた肌は
ケルトの俗謡、ドルイドの神託を体内に秘めた
サクソン人の女
というのが似つかわしい
それは多分、千年の眠り
かそけき滅びの寝息
混血を重ねた遺伝子に残存する
遥か古代民族の征服劇と凌辱のすすり泣き
毛穴から立ち昇る
ローマによるキリスト教化以降の
ノルマン人に始まる侵略の塩基配列
だから背景に陰鬱なハイランドの空を感じさせる
濃緑にひしがれたアイルランドの無明がある
ヒースの曠野
古戦場の雲雀のさえずり
夕景に翳るハイ・クロス
夜の森
灰色の、柱廊の反響
そう、風の音がする女
静謐の饒舌がある
シェイクスピアの女だ
すらりと細い、楚々たる非業の女
愛するが故の末路を辿らされる女
デスデモーナの寝室
オフィーリアの裸足
レディ・マクベスの困惑
ラヴィニアの泣哭
シェイクスピアは
こんな女が好きだったろう
搔きネタ代りに書いたのかね
さぞかし愛し憎んだだろう
Shakes Peare 頭の中で
か弱くつれない女を
翻弄 愚弄 凌辱の狼藉三昧
尻の青いジュリエットや赤ら顔の乳母ほどの諧謔と機智さえ
哀れな佳人の舌先と心映えに置いてやらないペンの苛み
ミソジニー
粗筆チンポの嗜虐趣味ってところか
いや、インポだな