ホップホップピッチ
しべ

振れた雨の振動数に寄りかかって
あなたの鼓動は直進する
言葉の数々と濡れながら空を飛ぶ
カーキのマンションの3階に猫を見る
猫も猫であなたを見ている
卑しさに消え入るザクロの双眸で雨の玉を引っ張る引っ張る

で、路面電車が走っていたあたりを右折する
時計屋の看板だ
お辞儀しながらくぐり抜ける

歩道橋の影か水か形か乱反射して
傘を無くしたあなたを
ずっと走っているあなたをニヤニヤみている
あなたは猫より速い、右の踵がシューズを運ぶと
水たまりをノックして
朽ちた車庫を踏み抜いて感電しながら
烏をぶったぎりついつい走る走る


で、ずっとずっとまだまだ走っている



自由詩 ホップホップピッチ Copyright しべ 2012-06-12 18:10:20
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