雨季の知らせ
朝焼彩茜色

雨季時間は妊婦の安定期に似ている

穏やかに 目を細めて微笑みを

何日も繰り返す

 雨に傘を持たす
 優しい妖精は
 紫陽花の葉をつたう
 雫のかたまりの様に
 儚く 役目を終え
 ミストを弾き出す

その音が

何日も聴こえる

妊婦の安定期は

芸術を生み育てるのにも

似ている

 傘を拒む強気な雨は
 この世での陣痛の刻みの間
 滅びない為の
 欠片の鎖を また一つはめる

 縁がある この世に

 ただそれだけを知らせる雨季

 ただそれだけを知らせる雨季


自由詩 雨季の知らせ Copyright 朝焼彩茜色 2012-06-12 12:49:16
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