Bougainvillea
南 さやか

床に散らばった花びらに気づいたのは
364日目の朝だった
未だ 夏なのに
先を急ぐように 花が枯れはじめている

やめられない煙草を 何十本と吸ったこの窓辺で
いつものように僕は 彼女に話しかける
"待ち合わせは何時にしようか…?"

約束を守ったことなど 一度もなかった
なのに君はめげずに
僕を待っていてくれたね
 多分… 今も 別の世界のどこかで


明日は結婚記念日
ふたりで育てたこの花を
少しずつ枯らしているのは 君なのか?

風になり この花の蔓に巻きついて微かに息づく
君の笑い声を 今日も

僕は夢の中で聴いていた



自由詩 Bougainvillea Copyright 南 さやか 2012-06-12 04:08:23
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