Bougainvillea
南 さやか
床に散らばった花びらに気づいたのは
364日目の朝だった
未だ 夏なのに
先を急ぐように 花が枯れはじめている
やめられない煙草を 何十本と吸ったこの窓辺で
いつものように僕は 彼女に話しかける
"待ち合わせは何時にしようか…?"
約束を守ったことなど 一度もなかった
なのに君はめげずに
僕を待っていてくれたね
多分… 今も 別の世界のどこかで
明日は結婚記念日
ふたりで育てたこの花を
少しずつ枯らしているのは 君なのか?
風になり この花の蔓に巻きついて微かに息づく
君の笑い声を 今日も
僕は夢の中で聴いていた