三つの小品
青土よし

#1


家の近くにある大きな川に
ぽっかり
空いているダム穴を眺める。
くつしたをおろす、
そっと川のふちに足をひたす。
そうしてからだを横たえると
私はいつのまにか
すっかり
水の中。




#2


雨は
げんざい
有毒な
物質

化した
が僕の
頭は
それ
で出来た
やわらかい
ゼリー
にうずもれる
妄想を
する
こと

やめない。




#3


扉の前で
或る小説家のユーレイが
さめざめと
泣いています。
それがうるさいので
今夜も
眠れないのです。





(思春期の少年少女達が抱く妄想が時に世界を滅ぼすという事象に関して)


自由詩 三つの小品 Copyright 青土よし 2012-06-12 03:01:11
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